著書名 アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新 著者 野中郁次郎 出版社 中公新書 発表年 1995年 | ||||||||||
野中郁次郎(のなかいくじろう)1935年生まれ 一橋大学名誉教授 カリフォルニア大学バークレー校経営大学院ゼロックス知識学特別名誉教授 エーザイ取締役・指名委員会委員長 富士通取締役 セブン&アイ・ホールディングス取締役 『組織と市場』千倉書房 『失敗の本質』ダイヤモンド社 (戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀との共著) 『知識創造企業』(竹内弘高との共著、梅本勝博訳)東洋経済新報社 『アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新』中公新書 『知識創造の経営』日本経済新聞社 『ナレッジ・イネーブリング』(2001)東洋経済新報社 『知識創造の方法論』(2003)東洋経済新報社 『イノベーションの本質』(2004)日経BP社 『イノベーションの作法』(2007)日本経済新聞出版社 『組織は人なり』 (2009) ナカニシヤ出版 | ||||||||||
購入日 2011年2月13日 きっかけ 小平図書館 目的 組織について | ||||||||||
目次 第1章 存在の危機 第2章 新たな使命の創造―水陸両用作戦 第3章 教義の実践―南太平洋方面作戦 第4章 教義の革新―中部太平洋方面作戦 第5章 革新への挑戦―水陸両用作戦を超えて 第6章 組織論的考察―自己革新組織 | ||||||||||
p196 組織の自己革新は学習だけではできない。 過去の成功体験の過剰適応を起こし、新しい環境に適応できなくなる。 自己革新組織は、主体的に新たな知識を想像しながら、既存の知識を部分的に棄却あるいは再構築して自らの知識体系を革新していくのである。 新しい知の創造なくして組織の自己革新はあり得ないのである。 「思いを言葉に、言葉を形に」のプロセスのなかで、知識の獲得・創造・活用・普及・蓄積が一斉に起こり、組織の知識体系が変革されていくのである。 ☆会社や軍隊の組織レベルでなく、自治体や国家、市民、個人のレベルで考えると面白い。個人における自己革新。過去の成功体験に固執する宗教団体や国家、官僚組織。適応していく組織と適応できずに衰退していく組織、システム、個人。これを見抜く目を持った。 自己革新=適応し発展していくこと。自ら指標をもち自己診断出来ること。自主性と自覚が発展のカギ。 | ||||||||||
コメント ・1775年に英国を模して創設されたアメリカ合衆国海兵隊は、独立戦争以来、2度の世界大戦、朝鮮・ベトナム・湾岸戦争などで重要な任務を遂行し、遂には アメリカの国家意志を示威するエリート集団へと成長した。はじめは海軍内でとるに足りなかったならず者たちが自らの存立を懸けて新たな戦術を考案し、組織 の自己革新をなしとげたのである。本書は、その戦績をたどりながら、「最強組織」とは何なのかを分析する試みである。 ・不易流行-非営利型組織の自己革新, By macan (信州小諸) 最後の章では、海兵隊の進化の歴史から学べることをまとめてあります。そこから抜き出すと、 自己革新の要件 集中と分散 分化と統合 共有されている中核技能と個々別々の専門的技能 人間性を重視するシステムと科学技術を徹底的に利用するシステム そして、矛盾するように見えるこれらのことの突破口を見つけるための行動、それも素早い行動。! もう一つの矛盾のように見える大きな2つの要件、「不易流行」。不変とされる組織の存在価値と常に変わり続けなければならない機能価値である。 自治体という、市場による組織変革が起こりにくい部門に働く私個人としてたいへん触発される内容でした。 | ||||||||||
見える会議〜ビジュアルが相互理解を深める 優秀なリーダーは会議で場を作り、結論に導く ・プロフェッショナルに求められるコミュニケーション力とはどのようなものか? ・どうしたら身につけられるのか? ○優秀な経営者は、そろってコミュニケーション力に長けた「人たらし」 ■組織のコミュニケーション不全に悩んでいる経営者や管理職が多くいます。どうしたらコミュニケーション力を向上させることができるでしょうか。 野中 「コミュニケーション力」とは、「場づくりの能力」だと私は考えています。その場の空気を敏感に読み、ジョークを多用して場をなごませ、人心を掌握する。 「場づくりの名人」といってすぐに思い出すのは、「世界のホンダ」の本田宗一郎氏。彼のジョークはほとんど猥談だったそうですが、それはきちんと空気を読んだ上でのものだった。だから不快感を持たれることもなく、むしろ親近感を増すのに一役買っていた。 経団連会長の御手洗冨士夫(キヤノン会長)氏もそう。あんなに話の面白い人はいません。名だたる経営者は一様に場づくりの能力に長けている。俗に言えば「人たらし」です。 もちろん本田氏にしても御手洗氏にしても突出した才能の持ち主です。普通の人は彼らと同等の資質を身につけることはできない。だからそのレベルを目指す必要はない。ただし、平均レベルのコミュニケーション力は持っておきたい。 どうすればいいか? こればかりは本を読んで勉強しても駄目で、実地で身につけていくしかない。端的に言えば、コミュニケーション力に優れた先輩や上司を見習って、OJT的に学んでいく。どんな人でも尊敬する上司はいるでしょう。素直に彼のまねをしていけばいい。 実際、生産性の高い会議の模様を見ると、やはりリーダー格の人に高いコミュニケーション力が備わっているものです。「会話の妙を心得ている」というのでしょうか、フォーマルな話とカジュアルな雑談を巧妙に使い分けることで、あらかじめ想定してあったシナリオに場の流れを沿わせることができる。そして目指す結論にソフトランディングさせる…。 そういう力を持った人材をどれだけ抱えているかが、企業の将来を左右するのではないでしょうか。コミュニケーション力の低い、人間的に魅力のない人を周囲がコミットするはずはありません。そして、周囲のコミットなくしてはミッションを完遂することもできません。 ■「人間的な魅力」は、言葉にするのが難しい暗黙知*1ですね。 野中 そうです。だから「優れた先輩や上司を見習う」とは、「手本」を通じて暗黙知を共有することに他ならない。暗黙知を共有するためには、経験を共有する以外にない。だから、例えばセミナーなどを開いてどうなるというものではありません。経験とは、言葉にするのが困難なもの、五感を総動員して感じ取るものです。これに対して、セミナーの中心となるのは言葉、すなわち形式知*2=論理だからです。 「形式知と暗黙知がダイナミックに連動するところに、日本企業ならではの特性・強みがある」というのが私の持論です。しかし、ことコミュニケーション力とか人間的魅力といったことは、ひとえに暗黙知に属する問題です。 *1 暗黙知:言語・文章で表現するのが難しい主観的・身体的な知 *2 形式知:言語・文章で表現できる客観的・理性的な知 ○ビジュアル的要素は「経験の共有」を補完する ■多くの経営者が、「ベテラン社員が持つ暗黙知をいかにして全員で共有するか」に心を悩ませているように感じます。 野中 暗黙知を共有するためには、そもそもそれが暗黙知であることに気づく感性が必要になる。ですから身もふたもない言い方になりますが、社員全員・部門全員で暗黙知を共有することは不可能です。少数の「手本」となるキーパーソンを選んで伝えていくしかない。 例えばトヨタ自動車。同社の生産管理システムとして有名な「カンバン方式」は、かつて同社の副社長だった大野耐一氏(故人)が体系化したものです。彼はたくさんの暗黙知を持っていました。そして、それを伝える人をきちんと選んでいた。その大野氏の正統的な継承者こそ、現会長の張富士夫氏です。おそらく張氏も人を選んで自身の暗黙知を伝えていったでしょう。優秀なキーパーソンを選び、1人から2人、2人から4人と「スモールワールド」*3を活用して伝承の裾野を広げていく。質の高い暗黙知を継承するには、それしかないでしょう。つまり「暗黙知の共有」と口でいうのは簡単ですが、その実現のためには膨大な時間と手間がかかるのです。 そこで多くの企業はどうしているかというと、暗黙知のレベルを下げている。そうすることで1人でも多くの社員に理解させようとするわけです。ノウハウをドキュメント化して、ITツールで共有させたりとかね。しかしそれは、真の意味での共有ではないのです。繰り返しますが暗黙知とは頭で理解するものではなく、身体で覚えるものだからです。 この、身体による理解が非常に軽視されているように感じられてなりません。IT信仰の落とし穴と言うべきでしょうか。ITは形式知を伝えるには便利ですが、暗黙知は伝えにくいのです。 ただ、そこに行為の状況や文脈を入れ込んだり、ビジュアル的要素、特に動画や音声などが加わってくると事情は変わってきます。「見る」「聞く」は身体的な行為であり、言葉の裏にある繊細なニュアンスなども伝えられますから。その意味で、経験の共有体験を補完するものとしてビジュアル要素を使うことは積極的に考えていい。 昨今、企業でもビデオ会議システムのたぐいを積極的に導入しているという話を聞きます。このグローバル化の時代にあっては当然な流れでしょうね。私は以前、米国の大手パソコンメーカーが開発したシステムを見学したことがあります。映像の繊細さ、音声のクリアさに驚きました。画面の向うにいる相手の表情も細かく読み取れたし、声のニュアンスも明確に分かった。これは暗黙知を共有する上でも相当に有効な手段だなと思いました。 もちろん、こうした道具は、どれほど進歩したとしてもあくまで仮想的なもの。過信は禁物です。なにしろビデオ会議システムでは、会議が終わった後に握手して別れるなんて芸当は不可能ですから(笑)。 *3 スモールワールド:6人の共通の友人の連鎖で世界につながるネットワーク | ||||||||||
ナレッジ・イネーブリング(知識創造企業への五つの実践)
ケアとは人が学ぶのを助けることであり、重要な出来事や結果に気づくように支援することであり、お互いの洞察を共有すると同時に個人的知識を培うことである。 ケアには次の5つの特徴がある。
押収の状態は、正しく仕事の評価をされるにくくすることを目的に、単純な仕事のプロセスを複雑にして、さも難しい仕事をしているように装い、仕事のやり方を他人から分らなくしてしまう。 他の人が仕事内容を知ろうとすると、『迷惑する』などと言って攻撃してくる。 一般的に、組織のメンター・システムはケアの実践である。 メンターは高いケアを持って自分の部下に接し、信頼を築き、辛抱強く耳を傾け、相手の立場に立って考え、寛大な心で教育、訓練、判断をし、有益な批判によって彼らの行動が軌道にのるように積極的に努めなければならない。 人々が新しい、不慣れなコンフリクトやストレス、不確実性を伴うような仕事を与えられた時に『転換のコンピタンス』が必要になる。 メンターは、新しい従業員が自力で転換期を乗り切れるかどうかそばで見ているのではなく、指導に努めるべきである。 知識を3つにまとめて定義している。
②のコンセプトの創造は、暗黙知をメタファー、アナロジーの形で形式知に変換する。 更に、③のコンセプトの正当化によって、コンセプトの形式知化は完成する。 一般的には、評価会等に図ることに相当するのであろう。 ②のコンセプトの創造と③のコンセプトの正当化が、表出化(externalization)である。 ④のプロトタイプの製作は、連結化(combination)であり、内面化(internalization)でもある。 プロトタイプを作成するには、一般的により多くの人の参加が必要になる。 既存の形式知と新しい形式知を連結させ、この形式知を個人の暗黙知まで高める必要がある。 ⑤の知識の組織全体での共有は、もうひとつ別のSECIモデルである。 形式知のみでは、①から④は理解されないだろう。 ナレッジ・イネーブリング・コンディションの整備は、下記の5つのナレッジ・イネブラー(knowledge enablers)によって実現されると主張している。
ナレッジ・ビジョンの浸透は、次の3つが重要である。
2.会話のマネジメント ビジネス組織で行われる会話の目的は、形式知を確認するか、新しい知識の創造を目指すかである。 新しい知識を創造する会話は、知識創造の5つのステップで重要な役割を果たしている。 知識創造の第一ステップでは、会話に参加する者がそれぞれ有している暗黙知は、信頼感にあふれた状況のなかで共有されなければならない。 知識創造の第二ステップでは、このようなオープンエンドの会話のやりとりを通じて、職場のメンバーはお互いに信頼し合うことを学び、ケアの環境作りを行ない、こうしたなかから新しいコンセプトが生まれていく。 知識創造の第三ステップでは、新しいコンセプトを組織の価値観、ナレッジ・ビジョン、ビジネス戦略、コスト、投資収益などに合せて正当化しなければならない。 正当化を通じて、魅力がなく、また受け入れがたいコンセプトは排除される。 新しいアイデアの価値に関する会話は、建設的な批判ととげとげしい評価との間の微妙な境界線上で行なわれる。 知識創造の第四ステップでは、知識を創造する会話はプロトタイプのデザインとその製作を引き起こす。 技術上の問題解決策が参加者から持ち出され、慎重に議論される。 この点で知識確認のための会話は、ますます重要な役割を果たすようになる。 技術、生産、マーケッティング、そして財務上の専門知識が取り上げられ、議論される。 最後に、知識を組織全体に広める段階では、形式知やコンセプトが会社全体に広められる。 ケアの状態により、形式知だけ広める取引になるか、コンセプトを内面化する内在化の違いが出てくる。 優れた会話をする指針 が下記のように述べられている。
ナレッジ・アクティビストは、暗黙知を共有するミクロ・コミュニティを形成する上で中心的な役割を果たしている。 なお、暗黙知を共有するコミュニティは少人数でなくては成り立たない。 ナレッジ・アクティビズムには、下記の6つの目的がある。
経営者は会議用の部屋やコンピュータ・ネットワークを使えるようにしたり、タスクフォース・チーム、リトリート(オフサイト・ミーティング)を通じて従業員同士の交流を活発にしたり、知識創造活動を推進することができる。 また、イネーデリング・コンテクスト(適切な知識の場)は、自然発生することもある。 イネーブリング・コンテクストは、個人や組織が知識を創造し、知識の数を増やしていけるようなエネルギーを与える存在でなければならない。 そのためには、メンバーに適度な自主性を与えること、創造性に必要な程度にカオス、リダンダンシーの状態を作り上げること、刺激的な環境を作り上げるために多様な人材を揃えることが必要となる。 そして最後に、高いケアの行き届いた組織を作り上げることである。 5.ローカル・ナレッジのグローバル化 ローカル・ナレッジのグローバル化には、次の3ステップがある。
1980年代、日本の自動車メーカーはアメリカに工場を建設した。 アメリカで採用した多数の人々を、長期間日本に呼び研修を行なった。 これは、日本で暗黙知を習得して、アメリカに移転してもらいたいために行なった。 暗黙知のことをラインのリズムと呼ぶ人もいる。 ただ最近、養老猛司氏の『バカの壁』がベストセラーになるほど、情報はあるのに、認識できない状況が続いているように見受けられる。 情報は溢れていても、SECIモデルで最後の内面化ができにくい状況になっている。 形式知に重きが置かれ、暗黙知を軽視されているように危惧している。 これまでの日本の成功は暗黙知の利用にあり、暗黙知の再認識が必要であろう。 | ||||||||||
リンク ・ナレッジ・ワークプレイス革命 ~ 日立ハイテクノロジーズ 那珂事業所様にみる創造性と生産性を高める場のつくりかた ~ ・ナレッジマネジメント ・不易流行 いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと。また、新味を求めて変化を重ねていく流行性こそが不易の本質であること。▽「不易」はいつまでも変わらないこと。「流行」は時代々々に応じて変化すること。 ☆全てのものは変化する。しかし変化するという本質、原則は変わらない。変化しない原則と変化していく実体がある。 ・本「失敗の本質」 ・ ・ | ||||||||||
2011年2月14日月曜日
アメリカ海兵隊 非営利組織の自己革新
2011年2月12日土曜日
共同体の基礎理論
著書名 共同体の基礎理論 著者 大塚久雄 出版社 岩波書店 発表年 1955年 |
画像 著者略歴 |
購入日 2011年2月12日 きっかけ 内山節 目的 共同体の発展の歴史 |
目次 1.序論 2.共同体とその物質的基盤
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・資本主義の発生と発展の歴史 古い封建性の崩壊 共同体の解体 共同体=封建的共同体(ゲルマン的共同体) 共同体の本質、発展、解体の理論 ※経済史学ぶにあたって、基礎的諸概念や理論に関する予備知識なしに学ぶことは、燈火なしに暗夜の道を歩くに等しい。 しかし、理論はあくまでも史実の抽象にすぎず、理論と食い違う事実を受け入れない過ちを犯してはならない。理論は地形を抽象化した地図のようなものであり、事実と相違がある場合に直すべきは地形でなく地図である。 ・生産様式 ・資本の原始的蓄積 ・階級 |
社会の見方 歴史 未来(あるべき姿)→現在→過去(学ぶべき経験) 場所 人・組織 組織の種類 国家 自治体 地元 会社 組合 クラブ 非営利組織 一族 家族 夫婦 個人 組織の種類と機能 政治・経済 生活 宗教 |
コメント ・著者は戦後社会科学の巨峰.資本主義の発展史を研究する場合,共同体の解体の問題を避けて通ることはできない.そのためには共同体の本質,成立と解体の諸条件を総体として理論的に見通すことが必要である.本書は主としてマルクスとウェーバーの理論に依拠しつつ世界史上の共同体の諸形態を類型化した記念碑的著作である.姜尚中解説. ・名著の力, 2009/4/11 By 古本屋A (Japan) (トップ500レビュアー) マルクスの唯物史観とウェーバーの経済史の幸福な結婚ともいえるのが、大塚史学。その脇の堅さ、均整の取れ方、何よりも、「大著は愚著である」というリスクを見事なほど回避した小冊子にして豊富な内容。明治生まれの「文科系」の学者は実に偉かったと思う。本書は、疑う以前の知識の下地作りとして、昔はみんな読んだものだった。でも、ふと我に返って、今考えると、この本は、一体なんなのだろう、これは歴史だろうか。絶対に違うと思う。「理念型」が方法論上、やむを得ないというを言い訳(?)に開き直って、個々の事象をあまりにも捨象し、ビューティフルに纏め上げた「おはなし」が歴史である筈はない。目的論的にも、方法論的にも、こんな風にまとめてしまって、一体何がしたいのか。何処の国の話をしているのだろう。事実を特定できない観念(理念型)だけの比較考証は、学問めかした似非歴史学ではないか。欧州の田舎を見聞して、残存する古い風景に遭遇した時、この本の提示する枠組みに、事実をぶち込んで納得したこともあったが、それでよかったのだろうか。でも、何か指標がないことには始まらないし、色々疑問に思えることに出会えたこと自体、幸せなことかもしれない。それは本書あっての体験だ。名著というのは、やっぱりいろいろな力がある。 ・題名のごとく!!, 2002/6/14 By sanny 本著は、共同体の基礎的な教科書です。 共同体のの本質、成立を資本主義以前の社会まで遡って紐解きます。 そして、段階を追って血縁的関係を基礎におく共同体から 血縁関係を基礎に持たない隣人集団である村落共同体へと発展する過程を歴史的記述、 マルクス資本主義を根底に置きながら分析しています。 共同体の原初的形態から、丁寧に説明されているので 共同体の成立と発展を知りたい人にはお勧めです。 本著は戦後改革の時代に書かれたものであり 発展段階説をとっているので、少し古く感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、 ひとつの説として共同体の勉強に役立つでしょう。 文章は少々難解なので、薄いですが読み応えは結構あります。 <本著の経緯> 著者 大塚久雄氏の研究テーマは 資本主義の発生と発展の歴史であり、 その過程に「共同体の解体」とうい一説を含んでいます。 その崩壊を語る前に、広く「共同体の」本質、成立と解体の 諸条件を理論的にみなおす必要から書かれました。 <本著の構成> 骨格は近代以前の富の基礎的な範疇である 「土地」の共同体的占有を出発点とし、 共同体の発展段階を アジア的形態→古典古代的形態→ゲルマン的形態 としています。 (マスクスの「資本主義的諸形態」に習う) ・薄いと思って油断していると, 2007/8/14 By I "II" (神奈川県横浜市)(トップ500レビュアー) 薄い小冊子と思って油断していると専門的で深い内容に圧倒されます 『共同体』という存在に対してのベースになる基礎をばーっと把握するには 最適な本ですが、最新のものと比較するとやっぱり古いなあと思う点も幾つか 「アジア的」形態→「古典古代的」形態→「ゲルマン的」形態と単なる相違の問題 と思われる点を進歩の道筋のように書かれている点などがその最たるものだと思います。 その辺をコントロールして読む必要はあります |
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