2010年3月11日木曜日

☆広報の達人になる法






広報の達人になる法
戦略的PR活動のための88の鉄則
山見博康
ダイヤモンド社2009年7月

序文―広報の使命 日産自動車社長 カルロス・ゴーン

 組織の信頼性は、「業績」と「透明性」の二点によって決まるものです。

経営者が「組織の明確なビジョン」と「それを支える戦略」、そして「具体的な行動計画」を描くこと―これが、高い業績へと導く因子となります。

しかし、ビジョンや戦略がパワフルでも、社員に理解されなければ共有されず、共有されなければパワーレスになり、結果を出すことができません。

それらを社員に伝え、モチベーションを高めるには、継続的かつ焦点の当たったコミュニケーションが必要なのです。



 広報は、社員のモチベーションを向上の一端を担っていますが、広報の役割はそれだけではありません。

社会の一員として、会社には、株主、ビジネス・パートナー、顧客、そして社会全般におけるすべてのステークホルダー(利害関係者)に対してコミュニケーションを行う義務があるのです。

優れた広報は、企業の信用、評判、そして何よりもブランド力の向上を支えているのです。

 企業による情報開示は、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の指針によって義務付けられていますが、事業の透明性は、義務を超越したコミットメントなのです。

透明性の確保を追及する姿勢は、企業文化の一部でなければなりません。企業は、言葉と行動が一致してはじめて、顧客と社会の信頼を獲得できるのです。

 短期的な利益を追求するために現状をねじまげてはなりません。

透明性には、誠意、説明責任、そして法規制の遵守が必要です。

これらはすべて、社内外を問わず、人々との長期的な信頼関係を築くのに不可欠なものです。

 コミュニケーションは、会社の戦略と信頼性を支える重要なマネジメント・ツールです。

日産では、広報担当者は、「戦術的実施者」でなく、「戦略的思想家」を目指すことを求められ、広報活動を行ううえで、以下の六つのポイントを重視しています。

  1. 十分な準備を行うこと。組織に深くかかわることで、重要なものと、重要でないものを区別すること。適切かつタイムリーなコミュニケーションを目指すこと。
  2. 内容・根拠がしっかりしていること。素直かつ明快な広報活動を行うこと。
  3. 状況に合わせた方法であること。聞き手・ステークホルダーを把握し、そのニーズと期待を理解したうえで、的を得た、有効な広報活動を行うこと。
  4. 現実に即した、地に足のついたものであること。メッセージを理解できない限り、受け手はそれに反応することが出来ない。定期的にフィードバックを集めて、会社の目的通りにメッセージが伝わっているかどうかを確認し、将来のコミュニケーション改善に役立てること。
  5. 事実と数値に基づいた広報活動を行うこと。正確かつ事実に基づいた、測定可能な情報発信を徹底すること。
  6. 会社が実行する意志のないものについては広報しないこと。現実と会社の戦略に即した内容にすること。

 優秀な広報担当者の第一の要件は、強い使命感を持つことです。

自分の価値観と任された業務に忠実であることが大切です。

自らの境界を超えて構想し、より広大な絵を描けるように、機能横断的な取り組みを行うことです。

競合他社や、他業種の成功に学び、ベストプラクティスを積極的に取り入れ、常に学ぶ姿勢を忘れず、継続的な改善を目指していかなければなりません。

 

 広報のプロと企業には、高い成果と透明性が不可欠です。

広報活動の強化と理解の向上に携わる皆様には、会社の成功を支え、ひいてはグローバル社会の発展の一翼を担っていただくことを期待しています。

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