2010年10月10日日曜日

国のない男



 著書名 国のない男
 著者 カート・ヴォネガット
 出版社 日本放送出版協会 
 発表年 2007年

画像
 著者略歴

 購入日 2010年9月 小平図書館
 きっかけ 20世紀文学大全集

 目的 楽しむ 考える
 目標 引用できる言葉をものにする

 唯一わたしがやりたかったのは、人々に笑いという救いを与えることだ。
ユーモアには人の心を楽にする力がある。
アスピリンのようなものだ。
百年後、人類がまだ笑っていたら、わたしはきっとうれしいと思う。

 ぼくは、言葉で人々にやすらぎを与えたい。
でも、多くの人が拒絶し、不安や怒りを感じてしまうだろう。
真実を知ることは、今までの価値観が否定され、やってきたことをむなしくされるから。



目次

アマゾンより
 この本の全ての言葉を自分の頭にインプットしたいと思った。
思わず吹き出したり、胸がつまったり、しばらく考えたり。
二十歳の頃の若者のような、もう二度と出来ないと思っていた
"震えるような読書"が再び出来て本当に幸せだった。
私を嘘つきだと思っている人も、これだけは信じてほしい。
                 爆笑問題 太田 光

コメント

アマゾンより
・「人間はここが好きではなかったのだ」, 2007/9/24


By いちもんめの市助


 人間主義者ヴォネガットは、アメリカ人間主義者協会の名誉会長だったとか。

人間主義者って?「実際に親しみを持っているものに仕える」人びとと説明している。

(つまり、親しみを持てないものには仕えない、ということか。)

だから、このかけがえのない地球に仕えるどころか傷めつけるばかりの人間は、

「ここが好きではなかったのだ」(レクイエム、145頁)となる。

さくさく読める(訳者に感謝したい)けれど、

ぐっと胸にこたえるヴォネガットの遺書である。

反語が勢いのいいバネのように効いてくる。

毒舌、諧謔、皮肉がいっぱい、でも希望がある。救いが待っている。深くあたたかい。


・アイロニックな表現でアメリカを切る, 2007/11/1
By ringmoo (愛知県高浜市) (トップ100レビュアー)

 今年4月に亡くなったカート・ヴォネガットの遺作です。82才と思えない力があって、胸に迫ってくる作品です。

 文章は、ユーモアに溢れ、アイロニックな表現で、アメリカをブッシュをこき下ろします。その筆の冴えに、喝采を送りたくなります。
 文明の進歩を批判し、地球への、そして人間への愛情を感じさせてくれます。彼は、「人間主義者」と自らを評しています。人間を愛し、他人を助け合う社会にしたいと彼は言います。人は、一人でも多くの繋がりを持ちたいのだと。だから、結婚もし、家族を作るのだと。「コミュニティ」の復活が、彼の望んだことなのでしょう。
 その裏には、ドイツ系アメリカ人として、「国のない男」として、アメリカへの失望が大きかったのでしょう。
そんな彼が讃えるのは、リンカーンであり、マーク・トゥエインです。彼らの文章が沢山引用されています。

 それにしても、これだけアメリカを批判した本がベストセラーになる、これが良くも悪くもアメリカなのでしょう。




リンク

・カー・ヴォネガット非公式ページ 

・ドレスデンの大空襲

・マーク・トウェイン 「不思議な少年

・緋文字 ひもんじ



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