2010年9月14日火曜日

トランスパーソナル心理学入門













 著書名 トランスパーソナル心理学入門
 著者 諸富祥彦
 出版社 講談社新書
 発表年 1999年


 著者略歴

1963年福岡県生まれ。
1986年筑波大学人間学類、1992年同大学院博士課程修了。英国イーストアングリア大学、米国トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授(11年)を経て、現在、明治大学文学部教授。教育学博士。

 購入日 2010年9月12日
 きっかけ 図書館に手
 目的 トランスパーソナル心理学を知る 
 目標 心理学の系譜を把握する

目次

・“自分”を生きられない日本人の私

・トランスパーソナル心理学とは何か(つながり志向の心理学

・魂やスピリチュアリティを含む“第四の心理学”)

・ケン・ウイルバーの“いのちのライフサイクル”と意識変容論―プレパーソナル、パーソナル、トランスパーソナル

・自己探究・自己成長の三つの段階―人間の自己成長の完全なサイクル

・第1段階 自分の人生の“主人公”となる―プレパーソナルからパーソナル

・第2段階 自分を越えた“いのちの働き”に目覚める―パーソナルからトランスパーソナル

・第3段階 自分を越えた向こうからの“呼び声”を聴く―トランスパーソナルからパーソナル

・8つの“生きるヒント”―トランスパーソナル心理学のメッセージ


・フリードリッヒ・ニーチェ

 「誰にとっても普遍的に妥当する真理はない」

 ニーチェによれば、それを見る人間から切り離された、それ自体で独立した真理なんてものはない。
その背後には、必ずそれを見ている人間がいるはずで、したがって、見られるもの、知られるものは必ず、それを見る人間の視点、観点に制約されている。

・宮台真司 社会学者

 人生相談コーナーで、「人生に意味もクソもない」と喝破し、意味から離脱し脱力した生き方による「まったり革命」を提唱する。
 多くの若い読者は、「俺はいまのままでいいんだ」とそのまま認められ理解された気持ちになった。


●ニーチェや宮台真司のポストモダンの考え方は、「何をどう考え、どう生きようと、個人の好き好き」ということになってしまう。いくら正しくても、それは自分の意見にすぎない、君はそう考えるんだね、僕はこう思うんだ、で終わり、議論を忌み嫌う傾向がある。

 → 「むなしさの心理学」


◎心理学の大きな三つの流れ

 1.行動主義心理学、科学的心理学

 2.フロイトの精神分析、夢や無意識を扱う深層心理学、力動心理学

 3.上記二つを批判する形で生まれた人間性心理学
   アブラハム・マズロー
   カール・ロジャーズ

 マズローは最初、行動主義心理学から入った。
  人間は科学的に改善しうるという発想に興奮した。

 しかし、自分の赤ん坊ができると行動主義心理学のアプローチが馬鹿らしく思った。

 マズローはフロイトの精神分析に対し、人間の内面生活を考察の対象にしたことは評価するも、心の病理的な側面にばかり注目したことを批判し、心の健康な側面、肯定的な側面に目を向けた心理学を提唱。

 マズローが若手心理学者であった当時、素晴らしい学者が勢ぞろいしていた。
マズローは、なぜ、彼らは、世の中のありふれた人とこんなに違うのか、行動主義心理学や精神分析では彼らのことをじゅうぶんにはとらえられないことに気づいた。

 マズローは、自分の可能性をじゅうぶんに実現しきっている、自己実現した人間の研究に打ち込んでいき、人間性心理学を誕生させた。

 自己実現した人間、すなわち「自分の持っている可能性を最大限に発揮した人間」の研究を続けたマズローは、その自然の成り行きとして、「では、人間がその成長を極限まで追求するとどうなるのか」という問題に次第に関心を抱くようになった。

至高体験

自己実現から自己超越へ

1968年にマズローは著書「存在の心理学に向けて」の中で、

「第四の心理学それは、トランスパーソナルで、トランスヒューマン(超人間的)な心理学。人間性やアイデンティティや自己実現などを超えていく心理学。人間の欲求や関心よりもむしろ、宇宙そのものに中心を置く心理学。」

と述べている。



・ユング 1916年「トランスパーソナル」という言葉を「集合無意識」と同じ意味で使用していた。

・ウイリアム・ジェームズ プラグマティズムの著名な哲学者 1905年著書「宗教体験の諸相」のなかでトランスパーソナルという用語を使用していた。

・1969年 トランスパーソナル学会が発足  変性意識状態(オルタード・ステイツ・オブ・コンシャスネス)

・エサリン研究所  ヒューマン・ポテンシャル・ムーヴメント(人間の潜在的な可能性解放運動)

・WHO「健康」の新定義

「健康とは、身体的精神的社会的かつ、スピリチュアルに完全な一つの幸福のダイナミカルな状態を意味し、決して単なる病気や障害の不在を意味するものではない」

・トランスパーソナル心理学は、現代社会で静かに進行しつつあるスピリチュアル・レボリューションの理論的支柱となる心理学です。

・デヴィッド・エルキンス 「宗教を超えて」 宗教からのスピリチュアリティの分離

・スピリチュアル・レボリューション

 第一波:1960年代のヒューマン・ポテンシャル・ムーヴメント。マズローが宇宙に中心を置く心理学の発足し、組織宗教からスピリチュアリティを解放する道を開いた。

 第二波:1980年代のニューエイジ・ムーヴメント。前世療法、チャネリング、スピリチュアル・ヒーリング、クリスタルなど。シャーリー・マクレーンなどの有名人も認める。

 第三波:1990年代におこった魂ブーム。
 ・トーマス・ムーア 「魂のケア」「ソウルメイト」
 
 ・ジェイムズ・ヒルマン 「魂のコード」
 
 ・「脳内革命」「小さいことにくよくよするな!」


・アーサー・ケストラー ホロンとは、それ自体で完結した全体でありながら同時に大きな何かの部分である要素 




コメント






リンク

諸富祥彦のホームページ

・トランスパーソナル心理学研究所(ITP)

・「エゴを超える道」

・ロジャー・ウォルシュ

・フランシス・ヴォーン

・アブラハム・マズロー

・カール・ロジャーズ(カウンセリングの神様)

・ユージン・ジェンドリン(フォーカシングの創始者)

・フリッツ・パールズ(ゲシュタルト療法の創始者)

・ケン・ウイルバー(壮大な思想家)

・スタニスラフ・グロフ(ホロトロピックブレスワークという呼吸法の創始者)

・アーノルド・ミンデル(プロセス指向の心理学)

・ジェイムズ・ヒルマン(魂の声を聞く心理学)

・トーマス・ムーア

・フランシスコ・ヴァレラ

・自己創出論(オートポイエーシス)

・ニコラス・ルーマン










もっとトランスパーソナル心理学を学びたい方のために

トランスパーソナル心理学に関する一般向けの学会

 日本トランスパーソナル学会

参考文献
1.トランスパーソナル心理学全般

・<生きがい>創造の心理学 9つのヒント―トランスパーソナル心理学のメッセージ PHS新書 諸富祥彦

・トランス・パーソナル・カウンセリング入門 日本評論社 諸富祥彦

・トランスパーソナルとは何か 春秋社 吉福伸逸

・トランス・パーソナル心理学 青土社 岡野守也

・心はどこに向かうのか NHKブックス 菅靖彦

2.ロジャーズ

・カール・ロジャズ入門 自分が自分になるということ 星雲社 諸富祥彦 

・ロジャーズを読む 岩崎学術出版 久能徹 他

3.フォーカシングとジェンドリン

・やさしいフォーカシング 星雲社 アン・ワイザー・コーネル

・フォーカシング事始め 日本・精神技術研究所 村瀬孝雄 他

・心のメッセージを聴く 講談社現代新書 池見陽

・フォーカシングとジェンドリンの哲学 星雲社 諸富祥彦編

4.フランクル

・どんな時もyesと言う フランクル心理学の絶対的人生肯定法 大和出版 諸富祥彦

・フランクル心理学 どんな時も人生には意味がある 星雲社 諸富祥彦

・<むなしさ>の心理学 なぜ満たされないのか 講談社現代新書 諸富祥彦

・声にならない意味への叫び 春秋社 フランクル

・夜と霧 みすず書房 フランクル

5.プロセス指向心理学

・痛みと身体の心理学 新潮社 藤見幸雄

・プロセス指向心理学入門 春秋社 藤見幸雄

・後ろ向きに馬に乗る プロセスワークの心理学 春秋社 ミンデル

・ドリームボディー・ワーク 春秋社 ミンデル

6.魂の心理学

・魂のコード 河出書房新書 ジェイムズ・ヒルマン

・ソウルメイト 愛と親しさの鍵 平凡社 トーマス・ムーア

7.ハコミセラピィ

・ハコミセラピー 星和書店 ロン・クルツ

8.ウイルバー

・進化の構造 1・2 春秋社 ウイルバー

・万物の歴史 春秋社 ウイルバー

・意識のスペクトル 春秋社 ウイルバー

・魂のライフサイクル 東京大学出版会 西平直

9.グロフ

・自己発見の冒険 1・2 春秋社 グロフ

10.癒しと魂

・星のまなざし パルコ出版 鏡リュウジ

・覚醒のネットワーク カタツムリ社 上田紀行

11.その他 拙著 自己変容の段階論および教育への応用にかかわるもの

・カウンセラーが語る自分を変える哲学 教育開発研究所

・<エゴイズム>とその克服課程に関する研究 風間書房

・学校現場で使えるカウンセリングのテクニック 上下 誠信書房

・カウンセラーが語るこころの教育の進め方 教育開発研究所

・道徳授業の革新「価値の明確化」で生きる力を育てる 明治図書出版

・<宮台真司>をぶっとばせ! 星雲社

0 件のコメント:

コメントを投稿