1分間エンパワーメント
―人と組織が生まれ変わる3つの秘訣
K.ブランチャート
J.P.カルロス
A.ランドルフ
ダイヤモンド社(単行本) 1996/3
エンパワーメントのゲームプラン
1.みんなで情報を共有化する
- 会社の現況を知らせる・・・会社のビジネスについての社員の理解を促進する
- 情報の共有化によって相互信頼を築く
- 社員による自己管理の可能性を高める
- あやまちを学習の機会ととらえる
- 階層組織型の思考から脱却する・・・全員がオーナー意識をもつ
2.自主管理領域を創設する
- 全体図と部分図を明確にする
- 目標と役割を明確にする
- エンパワーメントのための、ルールと手続きを定める
- 必要訓練をほどこす
- 結果に対しては責任をもたせる
3.階層組織を自己統率チームに取り換える
- チームの方向づけを行い、スキル訓練を実施する
- 変革のための支援をし激励する
- メンバーの多様性は財産である
- 徐々に主導権をチームに渡す
- 困難な時期があっても切り抜ける覚悟を固めておく
○過去の成功を導いた考え方も、
もはや将来の成功を導かない。
まず最初に、経営者の頭を切り替えるべきである。
会社のやるべきこと
- 顧客主導の市場であることを認識すること
- 効果的な資金の運用をはかること
- 速やかで柔軟な対応をとること
- つねに改善すること
つまり、会社は生き残りをかけて、
顧客主導型の、
資金を効果的に運用できる、
速やかで柔軟な対応をとる、
つねに改善を続けることができる組織に変わらなければならない。
△「社員に仕事を任せたのに相変わらず、いちいち指示を求めてくるのです」
事例:閉店時間が過ぎた後に来たお客様に対する態度
お客様がドアを叩いているのに、店員は相手にしない
「悪いのは誰でしょうか?そのときに誰に腹を立てましたか?」
「店員です」
「それは違います!」
「店員が早く帰りたいのは当たり前です。
腹を立てる相手が違いませんか?
いけないのは店のオーナーです。
普通、オーナーは、
店員にオーナー意識を持たせるような手は打ちません。
もし店員が自分も店のオーナー、と思っていたら
ドアを開けたはずですね」
エンパワーメントとは、人にパワーを与えることではありません。
人には、本来、知識や意欲という形のみなぎるパワーが備わっていて、最高の仕事をしようとするものなのです。
エンパワーメントとは、このパワーを引き出すことです。
○エンパワーメントはまずトップから。
そうでなければ、実現しない。
「情報を教えてもらえないと、人はどんな気持ちになるでしょうか?」
「なんといっても不愉快でしょう。
また、よそ者扱いされている気分になるでしょう」
「自分には信用がない、と思いますよね。
逆の立場から言えば、信用していることを相手に示すには、
重要な情報を共有することが一番、ということになります。」
まず、人を信用することがエンパワーメントの基本である。
- 情報がなければ、責任をもって仕事をすることができない。
- 情報があれば仕事をする気持ちに駆り立てられる。
自主管理領域を創設する要素
- 目的・・・われわれに事業は何か
- 価値観・・・組織運用のガイドラインは何か
- イメージ・・・どんな未来像を描くか
- 目標・・・業務遂行にあたって、なにを、いつ、どこで、どんな方法でやるのか
- 役割・・・誰が、なにをやるのか
- 組織の構造とシステム・・・やりたい仕事を、どんな方法でやるのか
まず、トップはエンパワーメント組織となるために、
「説得的ビジョン」をつくり、示さなければならない。
説得的ビジョンとは、
- 未来像であるイメージ
- 組織の目的
- 組織運営の指針となる価値観
を明確に表現したもの。
例:アップル社
- 目的・・・役に立つ情報システムやコンピューターを作り、それをりようしてもらうこと
- 価値観・・・誰にでも使える簡単なコンピュータにして、一部の人にだけでなく、すべての人たちに利用の機会を提供する
- イメージ・・・すべての事務デスクの上、すべての家庭の中にパソコンがある、というビジョン
次に、「全体図」を具体的行動へ転換するために、各人が「部分図」を描く。
具体的行動とは目標達成のための行動のことです。
全体図およびそれを構成する部分図のもつ役割を理解してこそ、
仕事の効率も上がるというものです。
目標がはっきり見えないと、部下はより業績を上げられませんし、
また自発的にもなれません。
全員が自分の役割の重要性を認識したときに、
ビジョンは初めて現実のものとなる。
わたしの社長が、まず価値観について語りました。
そのときの話を全員がまるで昨日のことのように記憶しています。
いまでも、 「ドリカム・スピーチ」と呼んでいるほどです。
「夢を実現しよう」というわけです。
話の内容はもちろん重要でした。
しかし、その説明の仕方がなによりも印象的でした。
あたかも、皆に相談をもちかけているような調子でした。
話からわたしたちの社長の確固とした価値観と、
それを実現しようとする強い意志が伝わってきました。
わかりやすく、ていねいな説明でした、
しかも、説明の仕方が非常に説得的でしたから、
誰もが信じました。
「社長の価値観はわれわれのもの、きっと実現できる」と。
皆が使命感をもち、心からがんばるという気持ちになりました。
皆は、社長が唱えた価値観をそのまま支持しました。
合意が必要だったのはルールに関してでした。
価値観をどう具体化するかというルールです。
0 件のコメント:
コメントを投稿