日本改造計画
小沢一郎
講談社1993/5
小沢一郎は、この日本再生ビジョンにすべてを賭けた。
●主な内容・迷惑な「指導力の欠如」
・権力を行使しない危険・政府は「企業弁護士」か
・首相官邸の機能を強化
・官僚が決定権者か・政党による政策の選挙
・全国を300の「市」に
・生かされていない官僚の頭脳
・誤解されている「吉田ドクトリン
」・国連待機軍をつくれ
・「世界貿易機構」をつくる
・10万人留学生の受け入れ
・個人を大切にする社会
・都市に住宅、地方に雇用
・所得税・住民税を半分に
・自由な人生設計ができない日本人
・高齢者の職場参加を進める
・女性も選択が可能な社会を
・管理型行政からルール型行政へ
・新・教師聖職論
5つ星のうち 2.0 安倍内閣は小沢「改造計画」を実行中?, 2007/7/28
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柴犬 - レビューをすべて見る
参院選でどこに投票するか迷い、判断材料にしようと思って斜め読みしてみた。
「外交に関する私の一つの信念は、アメリカとの緊密な同盟関係を堅持することである」 あれあれ?
今回の選挙の民主党のビラでは『アメリカ追従で破綻した小泉-安倍外交路線』とか言ってるけど……。
その他にも、憲法9条に第三項を付け加えることを提案。
その第三項は、
「第三項 ただし、前二項の規定は、平和創出のために活動する自衛隊を保有すること、 また、要請を受けて国連の指揮下で活動するための国際連合待機軍を保有すること、 さらに国連の指揮下においてこの国際連合待機軍が活動することを妨げない」
という内容。
さらに 「規制からの自由」「企業も個人も自己責任で」とか、
「改革には痛みがともなう」 と言った、
どこかで聞いたことがあるようなフレーズが並ぶ。
『小泉改革』は、この本と言うか、小沢一郎氏の考え方にずいぶん影響を受けていた ということか。
するとその『小泉改革』の後継者である安倍内閣も、 小沢氏の『日本改造計画』の後継者ということになる。
小沢氏は、民主党が次の参院選で過半数をとれば、 安倍総理は衆院を解散せざるを得なくなるというような発言をしていたように思う。
それは結局のところ、法案を全て否決する構えである、ということか。
小沢氏はなぜ、もともと考え方が近いはずの安倍内閣と徹底的に対立しようとしているのだろうか?
少なくとも、 『農業の「戸別所得補償制度」』などというマニフェストを掲げる民主党よりは、 よほど現在の自民党と考え方が近いように思えるのだが……。
この本は1993年刊行のものなので、14年も経てば考え方も変わるということか。 それとも、そんなところが“剛腕”と言われる所以なのか。
確かな見識と無きに等しい反省, 2009/10/3
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偏執狂的読書暦 (東京都足立区) - レビューをすべて見る
民主党政権ということで、小沢氏の国家構想を読み解く上で 非常に参考になる本である。
1993年出版ということだが この時点で国家戦略局の原型となるモデルが紹介されており、 今読んでも十分役立つ内容だと思う。
本書を読んだ上での今後の民主党政権はどうなっていくかだが、 自衛隊や歴史問題は従来の自民党の見解とそう変わらないと思う。
またこの時点で地方分権を提唱している点も評価できる。
不安点は極端な自由貿易化が起こらないかということ。
また 本書では不法入国者の保護を訴えているが、それは国内の雇用 を犠牲にしてまでやることだろうか?
有名な国連中心主義についても書かれている。が、国連待機軍 の整備は今議論するのは民主党にとってプラスにはならないだろう。
最後に小沢氏に日本の舵取りを任せられるか、という点だが、 これは真っ平御免だと言わざるを得ない。
まず本書を書いた時点 で小沢氏が自民党中枢で宇野~宮沢内閣を実質動かしてしていた ことは国民の周知の事実である。
にも拘らず湾岸戦争他の政府の 不手際を全て首相官邸他の制度の不備に求めるのはいかがなものか?
そもそも本書を読んで感じたことは小沢氏が政治改革万能主義者 だということだ。
首相の権力集中やサポート体制の整備は確かに 重要だが、首相も人である以上求められる人物像や思想があるはずだ。
本書はそういった国家観がまったく語られていないし、自らの金脈 問題や過去の反省も一切ない。
本書には「日本人のようにはなりたくない」と言ったアメリカ人の 話が紹介されているが、小沢氏は過去の誠実な日本人の良さを本当に 理解しているのだろうか?彼のいう日本改造が全て完了したとき、 まだその国が日本と呼べるかどうか、はなはだ疑問である。
○まえがき
・日本型民主主義は内外の変化に耐えられなくなってきたため、社会の在り方と国民の意識を変革し、世界に通用する真の民主主義を確率しなければならない。
→真の民主主義とは?
○どのように変革するか・・・
1.政治のリーダーシップを確立する。
それにより、政策決定の過程を明確にし、誰が責任を持ち、何を考え、どういう方向を目指しているのかを国内外に示す必要がある。
2.地方分権。国家全体として必要不可欠な権限以外はすべて地方に移し、地方の自主性を尊重する。
3.規制の撤廃。
経済活動や社会活動は最低限度のルールを設けるにとどめ、基本的に自由にする。
3つの改革により、究極の目標は個人の自立である。すなわち真の民主主義の確立である。
→たとえとして、アメリカのグランドキャニオンに柵がないことを取り上げている。
人々はいまだに「グランドキャニオン」の周辺に柵をつくり、立ち入り厳禁の立札を立てるよう当局に要求する。
自ら規制を求め、自由を放棄する。そして、地方は国に依存し、国は、責任を持って政治をリードする者がいない。
個人に自己責任の自覚を求めること。
地方に権限を移すことによって、地方の自立をうながすことである。
さらに政治のリーダーシップを確立することで、政治家に政治に対する責任を求め、中央の役人には、日常の細かな許認可事務から解放することで、より創造的な、国家レベルの行政を求める。
これらによってはじめて、個人は組織の駒としてではなく、自由な個人として自己を確立していく。
自己の確立、民主主義の確立が進めば、さらに改革は進むであろう。
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